履き慣れた靴を脱ぎ捨てるとき

ついにCOVID-19に捕捉されてしまった、発熱はほとんどなく、倦怠感もそこそこに済んでいるが、嗅覚が無になったことにより、日々の楽しみの大部分を占める飲食への興味が湧かなくなってしまった。だってコーヒーは熱い泥水だし、チョコレートは焦げたクレヨンだし、カップ焼きそばは異星人の内臓、カレー粉は柔らかな土で、ウイスキーは消毒液。大好きな世界にそっぽを向かれて、久しぶりの失恋にショックが隠せない。わたしの鼻はなぜ顔の真ん中にあるというのか!間抜けなツラで鼻うがいをするためなのか。
貧食を悔い改めよという神託だろうか。確かに生活の中心に置いて、リスクヘッジもしていなかった。少し熱りを冷ましたほうがいいのかもしれん。