北極星

 まともな大きさくらいになったのは、ずいぶんひさしぶりでしたので、かえってかなりきみょうな感じがしました。でも数分でそれになれて、いつものように一人ごとをはじめました。「わーい、これで計画が半分たっせいだぞ! こんなに変わるなんて、不思議よね! 毎分毎分、自分がなんになるのかちっともわかんない。でも、もとの大きさにはもどった、と。つぎはあのきれいなお庭に入ることね――それっていったいどうやったらいいだろ?」

不思議の国のアリスより

 

両手に持ったキノコを交互にかじっていたあの頃を不意に思い出したりする、反省は無しで次のことばかり考えているのはいつも同じ、今は手元に簿記の本を広げつつもSFマガジンだって忘れていないしデザインやテクノロジーの本が横に積んであって爪もはげかけだけどお気に入りの模様になっているし先日ようやく配信されて見終えた洋ドラのサントラ的なプレイリストがかかる薄暗い部屋でいくつもの寝息を数えながら1秒の短さを嘆いたり世の中に怒ったりしている、恥ずかしくて茶化しちゃう35歳、息子の寝巻きはライトグリーンのワンピース、ビールとのり天はうまくて勉強は楽しい、いつまでも私は私のままでいたいよ、あなたもそこでかわらず光っていて