梅を拾う

実家の近所に梅畑がある。

高齢の方が所有していて数年前までは出荷等も行われていたそうだが、ここ1-2年は出入りがみられず、放置されているようだ。下草は刈られていないが、今年も大粒、たわわに実っている。

畑と集落の間の道にもぽつぽつと若めの梅の木があって、道にはみだした枝から、毎日数個のお恵みがある。鳥のさえずりが心地よい時間、散歩のたびにおこぼれに与る。

 

一つ手前の空き地には、3年ほど前からソーラーパネルが並べられた。梅林もいずれこうなるだろうか?

大手スーパーに並ぶ海外産の安い梅干しを選ぶことも少なくないし、果汁はほんのわずかで香料がほとんどであろう缶入り酎ハイを飲むことに抵抗もない。電力を消費していることを恥じはしないし、高層ビルに入居するIT企業で働いて食い扶持を稼ぎ、スマホでこれを書いている。でもこういう景色を見るとなんとなく落ち着かない。

 

首都圏に暮らして早10年、訳あって今までで一番長く田舎に帰っている。あと1ヶ月強はここで過ごす予定。やることも多いし考えたくないことを様々考えなければならない、でも昔ほど悩んではいない。