夢にまでみた白鳥との邂逅、その顛末

恥ずかしい話ではあるが、僕は数年前に性具の製造販売をするメーカーに所属していたことを未だにアイデンティティの一部としており、Web屋を転々としたのち携帯ゲームの会社に所属してなお、むしろ当時よりよほど下品な話に興じることが多いのは、Twitterをみれば明らかなことである。

さて、先日迎えた28歳の誕生日に、社内に集う悪友の一人が発した「ウィッシュリストはよ」という言葉によって、僕の物欲に火がついた。「アダルトグッズのたくさん入ったウィッシュリスト」を期待されていることはわかったので、片っ端から欲しかったものをクリックしていく。純金製のバイブレーター(127万円)が際たるものではあったが、最安のものでも5000円近くしている。
世の諸氏は「こんなものにこんな額を払うのか」と嘆息するであろうし、悪友らは「意外と高いとか無視してとりあえずぶっこもう」などと口々に言っているものの本当にそれを買うとは思わなかったので、下心たっぷりに普段自分のほしいものをチェックしているウィッシュリストへいくつか手頃な価格の物品と漫画を放り込んで同時に提示したが、言い出しっぺはこともなげに数名のカンパを集め、一番欲しいと公言していた「Swan Trumpetter」を贈ってくれたのだった。

swan トランペッター

swan トランペッター


大人のおもちゃ、とはうまいこと言ったもんである。
数名を集めて大はしゃぎで開封の儀をおこない、自宅に持ち帰ってひとしきり楽しんだ上でこれを書いている。
ご丁寧にギフトラッピングされており、メッセージカードにて「レビューは必須でお願いします。男性社員一同」と添えられていたので、ご要望にお応えすべく、僕の目線でいくつかよかったことと気になったことをあげたい。

◆デザイン
ゆるやかなS字を描くラインがよさを醸しだしており、いやがおうにも期待が高まる。このブランドはとにかくラインが良い。理にかなった美しさがある。(最近某国内メーカが出した謎の形状、完全に女子発案ではないだろと思ってしまったし、新しいものをという謎の強迫観念があると思われる)
完全防水で充電式というのは、まあ高価格帯商品ではスタンダードになりつつあるのでさして感動もない。時代だなぁ、USBの充電コードだけがついていたが、どうせならコンセント用のプラグもあればよかった。開封した際、手元のコンセントから充電できず、他人のPCに接続するという悲劇が生じた(初回充電が12時間って!ちょっとした放置プレイだよ…)
Swanは鮮やかなマゼンタのプロダクトだ。汚れが目立つから白や黒は避けたのだろうが、個人的にはもう少し渋い色だとストライクであった。
海外製のグッズにありがちな、ヴィヴィッドな色使いを好きになれない女性は、少なくないと思う。その点LELOはかしこいかわいい。
パッケージもよかったんだけど、これはある種手にした人だけが味わうべき興奮なので、書きません。買いましょう(あるいはどなたかにねだりましょう)。

◆バイブレーション
強さは申し分ない。が、デュアルである必要はあまりないと感じた。両方同時に使うこともないし、先だけで十分。ボタンの操作性も良い。
音は驚くほど静か。まあこれも高価格帯なら珍しいものではないが、今まで数個安めのものを持っていたため、どうしても比較してしまう。

◆質感
素材はシリコンかな。マット加工がしてあって手になじむ。少し硬めに思う。
洗うときにキュッキュ音がするのはまあ致し方あるまい。この音があまり好きでないので、水でざっと流してアルコールティッシュなどで拭くことにした。

◆使ってみた感想
※細い方を頭、太い方はしっぽ、女性器の部位の呼称については外、中と表記します。
外から頭の方をあてがったとき、想像以上のよさを感じた。首の部分のしなりである。手首の返しで容易に強弱をつけることができるが、バイブレーションは弱めにしておくと、じれったい感じがよい。自分でするっていうのは、正解がわかっているので達するのも早いのだけれど、そこにワンクッション置いて長く楽しめる。
中への挿入について、頭のほうにいわゆるインパクトはない。僕は圧迫感がなくて好きです。
ポイントが自分でわかっている人にはもちろん、探り探りの人にもおすすめ!バイブレーションしていると、あーここかっ、ていうのがわかりやすい。指よりもぴんとくる。他のバイブみたく回転するタイプではないので、そこは自力でやる必要があるけど、無駄に機械的なぐりぐりした感じよかいいです。
しっぽのほうの挿入は、ちょっと試す勇気がない。大きすぎる。もう少し素材が柔らかめだったらなんとかなったかな…僕は自慰にそれを求めていないのでいいのだが、キノコでいうところの傘が大きいのが好きな方はこっちを試してみるとよいかもしれない(にしたって日本人女性の大半には受け入れ難いサイズだと思う)。肌に当たる面積はこっちの方が大きいので、胸とか腰骨とかに触れるときはしっぽ側のバイブレーション使うかな。
恋人がいる人はプレイで取り入れたりもできると思う。いちゃいちゃの延長で女性に使うのは言うまでもないが、結構頭側はスマートにできてるので、後ろが初心者の男性にも使えるはず。

しばらくぶりにこういう製品に触れたけれど、新鮮な気持ちになれた。値段はかなり高いけど、満足感は安物の比ではない。同社他製品や、同価格帯の他社製品も試してみたくなった。

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余談だけど、新製品のアイデアスケッチでこれにかなり近いラフを、手慰みに描いたことがある。もちろん当時はブランドコンセプトつめてる段階で、かなりライトなユーザを想定していたから、そのプロダクトアイデアを出すこともなければ採用されることはなかった。陳腐だったし、会社やめた時点で破り捨てたが、夢のかけらくらいとっておけばよかったかもしれない。いつかまた、と思わないでもないが…多分そんな日は来ないんだろうなぁ。
本当に欲しかったものが手に入った喜びと、自分の手で作れなかった侘しさを同時に味わっている。まあ、NTR趣味もあるんでたまんないっす。